EX LIBRIS SIO

読書と料理と雑感。

紫蘇のパスタ

 これは大学の同級生Mさんに教えてもらったレシピ。

 Mさんの家には2回ほど夕食にお呼ばれしたことがある。同級生といっても他学部の大学院を卒業してから再入学したMさんは、私より歳上で物知りのすてきな女性だった。料理上手でもあるMさんは毎回おしゃれな手料理をふるまってくれて、田舎から出てきたばかりの私はいたく感心したものだ。

 特に私がおいしいと思ったのはMさん特製ソースを使ったパスタだ。見た目は完全にジェノベーゼなのだけれど、食べてみるとジェノベーゼより香りが優しく、どこか懐かしい味がする。

  「普通のジェノベーゼじゃないの?」と尋ねたら「バジルじゃなくて紫蘇を使ったの」と教えてくれた。普通のジェノベーゼの主材料はバジルだが、バジルは買うと結構高いし、ちょうど紫蘇が安い季節だったので紫蘇で作ったのだという。

 私はバジルも好きだけど紫蘇の方がもっと好きなので、ジェノベーゼを作る時はMさんの真似をして紫蘇を使っている。

◼️紫蘇のパスタ(紫蘇ベーゼ)

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◉材料(できあがり約150ml)

  • 青紫蘇 20-25枚
  • 松の実 40g
  • にんにく スライス3枚
  • パルメザンチーズ 大さじ1
  • 塩 小さじ1/2
  • オリーブ油 60ml
  • パスタ、塩こしょう、トッピングの紫蘇 適量

◉作りかた

  1. 紫蘇は茎を切り、洗って水気を切る
  2. フードプロセッサーに紫蘇、松の実、にんにく、塩、オリーブ油を入れて撹拌する
  3. 全体がよく混ざったら粉チーズを入れて軽く撹拌してソースの完成
  4. フライパンにオリーブ油(分量外)を入れて弱火で熱し、ソース大さじ2を入れて炒める。表示時間どおり茹でたパスタ(160〜200g)を入れて絡め、塩こしょうで味を整え、好みで紫蘇の千切りをトッピングしてパスタの完成

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 最近では紫蘇のジェノベーゼはポピュラーになっていて、レシピを調べる時は「しそベーゼ」で検索するとヒットしやすい。紫蘇ベーゼは和製イタリア語で、ジェノベーゼをもじった呼称である。

 正確にはジェノベーゼは「ジェノバの」という意味だから、紫蘇ベーゼでは意味をなさない。もっと正確にはジェノベーゼは「ペスト・ジェノベーゼ」の略で、「ジェノバ産バジルを使ったペースト」という意味だから、国産バジルを使った時点で既にジェノベーゼとは言えないとも聞く。

 とはいえ、このレシピを表現するのに「紫蘇ベーゼ」以上に簡潔で的確な表現はない。なので私も普段はこの料理を紫蘇ベーゼパスタと呼んでいる。

 *

 Mさんから教えてもらったのは料理のレシピだけじゃない。庭のカモミールで作ったカモミールティーは輸入物と違って林檎の香りがすることも、筒井康隆の小説が超シュールで笑えないけど笑っちゃうこともMさんから教わった。

 私の趣味が料理と読書なのもMさんの影響を受けている。どちらも彼女のレベルには達しないけれど(Mさんはアーレントをドイツ語で読める人だ)、Mさんに近づきたいという気持ちがなかったら私の人生はもっと退屈なものになっていただろう。

 このパスタソースを作るとき、私はMさんのことを思い出す。そして自分の人生が結構めぐまれていることに感謝するのだ。先のことは知らないけど、少なくとも今の時点では。*

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